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びわ湖高島文化財めぐり
朽木古屋の六斎念仏踊り

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朽木古屋の六斎念仏踊り

古屋集落と六斎念仏

六斎念仏とは、関西を中心に市井の人々によって受け継がれてきた民俗芸能です。古屋の六斎念仏は若狭から京都へと海産物を卸す鯖街道を通じて伝わりました。現在では滋賀県内でも数少ない伝承となり、県の選択無形民俗文化財に選定されています。お盆の時期に精霊供養として踊られ、十数年前までは六斎念仏の継承者一団が集落内の各家を回り、月明かりのもとで一晩中踊り続けました。太鼓(踊り手)3名、鉦(かね)2名、笛2名の計7名が、それぞれの奏でる音とともに念仏を唄え、ときに厳かに、ときに和やかに踊り、合間には若者や子どもが飛び入りして物真似などの狂言を演じました。古屋の六斎念仏は、この地に生きた者たちの愛する娯楽であり、土着信仰として大切に受け継がれてきたのです。

古屋六斎念仏のこれまで

古屋は針畑川を中心に拓けた山あいの集落で、古くから林業を生業としてきました。しかし、戦後高度経済成長期に生じたエネルギー革命の影響から、集落内で生業を立てることが難しくなり、過疎高齢化が進んでいきました。近年では集落内の玉泉寺にて、お盆の8月14日の晩に住民たちによる奉納が為されていましたが、2013年からは古屋六斎念仏に必要な人数を揃えることができず、奉納できない年が続きました。そうした状況を踏まえ、これまで集落内の住民のみで継承されてきた六斎念仏を集落外の、特にアーティストの人たちに教えることによる継承活動が始まりました。

2015年
地域外の共感者とともに、継承を目指すプロジェクトを開始。
2016年
都市部アーティストが継承に取り組み、玉泉寺での奉納再開。
2017年
古屋にルーツを持つ若者も加わり、かつて行われていた集落の各家を廻る「家廻り奉納」が行われる。また、その際に使用される山車が再開される。
2018年
多くの国内外のアーティストが古屋六斎念仏踊りを習い、家廻り奉納を実施。
また、戦後直後に途絶えたとされる演目『シシ』の振り起しをし、再開される。
2020年
新型コロナウイルス感染症の拡大のため奉納中止。新たに古屋六斎念仏を習いたいという希望者へ向けたオンライン稽古を実施。
2021年
新型コロナウイルス感染症により、昨年に続き奉納は中止。希望者へ向けたオンライン稽古を実施。

新しい継承の在り方について

上述のとおり、古屋で生まれ育った継承者の方々に、集落外のアーティストが加わり、古屋六斎念仏は再開を果たしました。近年ではアーティストに限らず、全国各地からさまざまな出自や生業を持つ方たちがこの事業に関わっています。ですが、古屋集落の過疎高齢化は依然として進んでおり、今後どのように継承を行うべきかの検討は続いています。民俗芸能は、その土地における日々の生活と密接に関係する表現/信仰です。にも関わらず、生活を別としている人たちと六斎念仏だけを続けていくことは可能なのか? また、古屋での生活と切り離した芸能を続けることは継承と呼べるのか? ゆくゆくこの集落に人が住まなくなったとして、そのとき六斎念仏はどうなるのか? など、新しい継承の在り方について、みんなで考えていかなければならない課題がたくさんあります。

©安曇川流域文化遺産活用推進協議会